口腔内装置(oral appliance:OA)
睡眠時無呼吸の治療のための口腔内装置は、一般的に他の治療法に比べて簡便であり安価、携帯性にすぐれるなどの特徴があります。しかし、口腔内治療にも問題点はいろいろとあり、そのことを理解しないためにかえって害のある結果となる治療もあります。
口腔内装置は基本的には舌を前方にする装置と下顎を前方にする装置があり、そのメカニズムや適応を理解して製作、装着しなければなりません。また歯牙移動や歯が抜けるなどのトラブルの可能性もあるので、注意が必要です。
口腔内装置が有効なのは、SAS患者の上気道の形態に影響する解剖学的な構造異常が口腔内装置によって矯正されるためです。つまり、口腔内装置は下顎とともに舌を前方に牽引して固定し、後下方に押し出されていた舌を口腔内に納めて舌根部の気道を拡大します。この結果、軟口蓋部分及び舌根部の気道断面積が増大します。
参考:口腔内装置の効果予測
①頭部X線規格写真分析法(セファロメトリー)
小顎(下顎後退)があれば口腔内装置があるという考え方。実際には、セファロメトリーで小顎(下顎後退)あるいは上気道狭窄が明らかでも、下顎の前方移動が行えない患者、あるいは下顎を前方移動できても舌の牽引が図れない患者は気道の拡大が得られない。
②下顎前突テスト
ファイバースコープあるいはX線透視撮影下に下顎を前突させて咽頭腔の拡がりをみる動的な検査方法。同部の気道断面積が増大する症例は、口腔内装置の効果が期待できる。つまり、顎顔面形態だけでなく、上気道の動的形態の評価が重要とする考え方。