鼻づまりと口呼吸、睡眠

鼻づまりと口呼吸

鼻呼吸時は、鼻粘膜上の受容体刺激が呼吸中枢に伝わり、呼吸を促進する反射を生じさせていると言われます。

 

これはnasal-ventilatory reflexと呼ばれ、口呼吸時は鼻呼吸量が低下することにより、鼻呼吸時と比較して分時換気量や平均気流流量などの換気ドライブが低下することが報告されています。1)

 

NO(一酸化窒素)は鼻副鼻腔で産生され、lung vasodialatorとして働きますが、口呼吸時は鼻呼吸量が低下することによりNO産生量が低下し、その結果、肺におけるガス交換能が低下することが報告されています。

 

鼻呼吸量が低下し口呼吸が主となると、吸気は鼻腔を経由しないため加温、加湿されていないことになります。このことが肺の伸縮性の低下、換気の低下を招いていると考えられています。

 

鼻手術297例によるメタ解析によれば、全体でのAHI改善はAHI35.2/hから33.5/hへと減少させるのみで、有意差は認められませんでしたが、鼻手術によって口呼吸から鼻呼吸へ以降した群は大きくAHIが減少し、その割合は15%ほどと報告されています2)

 

変動性鼻閉(アレルギー性鼻炎や人工的鼻閉)の方が、固定型鼻閉(鼻中隔弯曲症、長年に渡る鼻ポリープなど)より鼻閉解除により睡眠呼吸障害が改善すると報告されており、これは口呼吸から鼻呼吸への切り替えの可否と深く関連しているものと考えられています。3)

 

鼻づまりによる睡眠障害

鼻づまりによる睡眠障害には

 

1)鼻づまり そのものが不眠や眠気を生じさせる。

 

2)鼻づまりにより、いびき・睡眠時無呼吸が誘導される。

の2つのメカニズムが考えられています。

 

睡眠中の鼻呼吸障害は自発性覚醒(spontaneous arousals)を生じさせ、これが睡眠の分断化(sleep fragmentation)となり不眠へとつながると考えられています。

 

鼻呼吸障害をきたす疾患のうち、アレルギー性鼻炎は我が国では有病率39.4%と報告され、極めて頻度の高い疾患である。そのうちスギ花粉症が26.5%を占めている。アレルギー性鼻炎患者のうち、50~70%が入眠困難、夜間覚醒など睡眠障害を訴えているという報告が複数あります。

 

スペインにおける大規模研究では (n=2275) 鼻症状の強さは、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index: PSQI)による睡眠の質の悪さ、及び日中傾眠との関連が示されています。4)

 

本邦でも、鼻閉の強さと日中傾眠との関連が示唆され、また鼻閉、アレルギー性鼻炎はいびき、眠気をきたすとの報告があります。5)

 

鼻閉のため開口してしまうことにより舌根沈下が生じ、また下顎が下方に回転することにより咽頭虚脱(collapse)が生じと考えれており、このことが睡眠呼吸障害発症の主なメカニズムと考えられます。

 

咽頭のつぶれやすさの指標であるcritical pharyngeal pressure (Pcrit)は開口時に悪化すること6)、また上気道抵抗は開口時には閉口時と比べて2.5倍となることが報告されています。7)

 

また、健常人の鼻を閉塞させた場合、閉塞性SASが誘導されるという報告もあります。8)

 

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参考文献

1)Georgalas C: The role of the nose in snoring and obstructive sleep apnea: an update. Eur Arch Otorhinolaryngol 268: 1365-1373, 2011

2)Li HY, Wang PC, Chen YP, et al: Critical appraisal and meta-analysis of nasal surgery for obstructive sleep apnea. Am J Rhinol Allergy 25: 45-49, 2011

3)McNicholas WT: The nose and OSA: variable nasal obstruction may be more important in pathophysiology than fixed obstruction. Eur Respir J 32: 3-8, 2008.

4)Colas C, Galera H, Anibarro B, et al: Disease severity impairs sleep quality in allergic rhinitis (The SOMNIAAR study). Clin Exp Allergy 42 (7): 1080-1087, 2012

5)Udaka T, Suzuki H, Kitamura T, et al: Relationships among nasal obstruction, daytime sleepiness, and quality of life. Laryngoscope 116 (12): 2129-2132, 2006

6)Meurice JC, Marc I, Carrier G, et al: Effects of mouth opening on upper airway collapsibility in normal sleeping subjects. Am J Respir Crit Care Med 153: 255-259. 1996.

7)Fizpatrick MF, Maclean H, Urton AM, et al: Effect od nasal or oral breathing route on upper airway resistance during sleep. Eur Respir J 22: 827-832, 2003.

8)Olsen KD, Kern EB, Westbrook PR: Sleep and breathing disturbance secondary to nasal obstruction. Otolaryngol Head Neck Surg 89: 804-810, 1981.

 

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