最新の花粉症治療 注射薬「ゾレア」
このページでは2019年12月に花粉症の適応が追加承認された抗体医薬「ゾレア」についてわかりやすい表現で紹介します。
ゾレアは、全くの新薬ではなく、これまでにも気管支喘息や慢性蕁麻疹(じんましん)の治療に使われてきた薬剤です。
この点で、安全性について一定の信頼があるお薬ということができます。
保険診療の適応拡大により、通常の内服薬や点鼻薬での治療では改善しない重症花粉症にもゾレアが使えるようになりました。
女優の川口春奈さんがCMに起用されています。
彼女も花粉症がひどいようで、困っている様子をSNSでアップしていたことがCM採用のきっかけとのこと。
SNSからCMが決まるなんて、今どきなエピソードだなと思いました。
なぜ 注射薬のゾレアが必要なの?
極めてざっくりと説明すると...
すぎ花粉症に対して、これまでの治療薬(内服薬、点鼻薬)で良くならない方や
「もっとすっきりしたい!」という方には
数年間かけて免疫療法を行うか、レーザーや、あるいは手術を行うしかありませんでした。(手術が適応になるかどうかは鼻内の所見次第です。)
ゾレアは、注射を打つだけで、劇的に花粉症の症状をコントロールしようとするお薬です。
ゾレアを打つためには...必要条件をクリアしないといけません。
ゾレアが対象としているのは、重症のスギ花粉症の方です。
薬の効く仕組みとしては、他のアレルギー性鼻炎にも効果があるはずですが、保険診療上認められているのはスギ花粉と喘息のみ。
血液検査でIgEという値が基準値以上であることや、昨年度の治療内容、通常の内服薬や点鼻薬で効果が不十分であることなど、その他にも多くの項目を満たす必要があります。
昨シーズンの内服治療の内容(薬剤名)や、症状の程度、採血によるIgE評価など確認するべき条件、説明するべき項目が非常に多く、どこの耳鼻咽喉科でも当たり前に扱っているようなものではありません。
はるか耳鼻咽喉科では、必要な方に安全に接種できるよう条件を確実に整えてご案内いたします。
ゾレア以外のアレルギー性鼻炎治療も、内服、点鼻、点眼、免疫療法、レーザー、手術、まですべて網羅しています。
全くの無症状は難しいかもしれませんが、きっと
「いままで困っていたのよりはずっとマシです!」
といっていただけると思います。
はるか耳鼻咽喉科では、あなたの症状やライフスタイルに合わせた パーソナライズド治療を提案いたします。
ゾレアは注射のお薬
花粉症に対するお薬としては世界初の抗体医薬という種類になります。
ゾレア(Omalizumab)は皮下注射するお薬です。
過去には、花粉症に対しステロイドの注射が行われていたことがあります。
しかし、ステロイド注射は、高血圧や、皮膚陥没、色素沈着、一度打ってしまうと除去できないなど、いろいろと副作用の問題があり現在は日本耳鼻咽喉科学会が控えるように!と警鐘を鳴らしています。
今でも、こっそりと続けている施設もあるようですが、耳鼻咽喉科で行うところは無いと思います。
ゾレアは過去に行われていた花粉症に対する注射のお薬とは全く作用が異なります。
ゾレアは、花粉症に関わるIgE抗体と肥満細胞の結合を阻害することで、アレルギー性鼻炎の症状の原因であるヒスタミンやロイコトリエンという物質が放出されることを防ぎます。
従来、花粉症に用いられていた内服薬は、放出されたヒスタミンやロイコトリエンの作用を弱めようというお薬です。
ざっくりと表現するとゾレアは、ヒスタミンなどが放出される前に先回りして根本からアレルギーを抑えよう!という感じです。
ゾレアは 抗体治療薬、あるいは生物学的製剤というカテゴリーに分類されるお薬です。生物学的製剤の厳密な定義は存在しないのですが、一般的な定義としては「科学的に合成されたものではなく、生体(動物、細胞、微生物など)が作る物質を薬物として使用するもの」といったところになります。
最近では、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジー技術によって作られた、免疫グロブリンやサイトカインおよびその受容体に対する抗体(抗体治療薬)が生物学的製剤として、アレルギーなどの免疫疾患を含む難治性の慢性炎症の治療に使われるようになってきています。
ゾレアが使えるケースは重症のスギ花粉症だけ。
ここまでアレルギー性鼻炎と書かずに花粉症と記載しているのは、ゾレアの使用が許されているのは、今の所、季節性アレルギー性鼻炎の中でも、重症のスギ花粉症に限られているからです。
これまでの花粉症のお薬とは作用の仕方が全く異なるので、これまでの治療に満足行かない方も十分に期待が持てます。
お薬が市販されるまでには、効果や安全性について、厳重な試験が繰り返されるので新たに適応が追加されるということは、効果がしっかりしていると考えてよいです。
そもそも喘息ではこれまでも使用されてきたお薬です。
アレルギーの専門家からは、ゾレアを使用すれば、他の花粉症のお薬は必要なくなるほどではないか、という意見もでています。
どんな人にゾレアは適しているの?
ゾレアの使用について、厚生労働省からガイドラインがでています。
それによりますと、ゾレアはスギ花粉症で、ステロイド点鼻薬と内服薬の治療をしてもコントロールできない状態が1週間以上続くことを確認してから、となっています。
他にも
血液検査で、初回投与前のスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上。
12歳以上で、体重と初回投与前血中総IgE濃度が投与基準を満たす。
など、実際の投与にはガイドラインにそって基準を満たしているか、確認すべきところがあるります。
このあたりは専門家である耳鼻咽喉科医におまかせいただければと思います。
注射は皮下注射でごくわずか。2週または4週あけて注射します。
効果持続時間が非常に長いこともメリットです。
投与基準を満たした上で、ということになりますが
ゾレアは以下のような方によいのでは....と思います。
こんな方にはゾレアがよいのでは
どうしても屋外作業の多い方… 土木関係、林業関係者、プロ登山家
ゾレア投与ついてのご相談
ゾレアは新しいお薬で、投与基準も定められています。
花粉症でお困りの方、どうしても改善しないと困るという方には朗報です。
まだ、取り扱い施設がほとんどなく、どこに問い合わせたらよいのかわからないという方もいらっしゃるかと考えこのページを作りました。
ゾレアは処方できる医師も厳密に限られています。
当院では、必要に応じてゾレアの投与も含めて、あなたの症状にベストの治療法を探します。
ゾレア以外でも、花粉症治療についてお一人ずつにピッタリの治療を探すお手伝いをいたします。
はるか耳鼻咽喉科 中西までお問い合わせください。
0725-50-3333