漢方の「未病」の考え方はアンチエイジングの基本です。
漢方では老化を「腎の気」が衰えた「腎虚」の状態と表現します。ここでの、腎は腎臓のことではなく、そのヒトが生まれ持っている生命エネルギーを宿す仮想の場所のことです。
伝統医学的には腎虚の状態は、精力減退、下肢筋力低下、視力低下、脱毛、排尿障害、陰萎、耳鳴りなど老化に伴うさまざまな症状を指します。
このページでは睡眠障害とアンチエイジングに対する漢方的アプローチの一例についてご紹介します。
漢方はとても1ページに解説しきれるようなものではありませんので、とにかくシンプルに記載にできるように考え方は省略して、あくまでも西洋医学的解釈の症状に対する、ひとつの処方例として。
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老化の代表的なパターン2種と漢方処方例。
1. 胃腸が丈夫なまま血管系が老化するタイプ: メタボリックシンドロームのような状態
→ 八味地黄湯(保険適応は、DM,HT,前立腺肥大、腰痛、陰萎、白内障、耳鳴りなど)
2.胃腸から弱っていくタイプ
朝方に下痢を2〜3回するような高齢者に。 → 真武湯
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高齢者に用いられる漢方
不眠:体力が中等度で、いらいらや神経過敏の傾向かある場合 → 抑肝散。
少し体力が低下している場合 → 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
食用不振を伴う場合は、帰脾湯(きひとう)
睡眠導入剤や安定剤と異なり、就寝前にだけ飲むのではなく1日3回服用してもらっても昼間の眠気は誘発しません。
他に漢方薬を服用している場合には就寝前のみの服用でも構いません。
腰痛、しびれ → 八味地黄湯、牛車腎気丸 (胃腸が丈夫なとき
)
→ 疎経活血湯 (胃腸が丈夫でないとき)
耳鳴り → 八味地黄湯(胃腸が丈夫なとき)
→ 釣藤散
便秘:加齢により腸管の細胞内水分が不足し乾燥気味になり便秘になるケースの場合、
→ 潤腸湯、麻子仁丸