AHI20以下は放置していいの? 〜軽症で良かった、ではありません〜
睡眠についてのホームページを立ち上げてから
いびき、睡眠時無呼吸のご相談を受けることが増えています。
よくあるパターンは
「昔、他のクリニックで 睡眠時無呼吸の検査をしてもらったんだけど
AHIが20以下で 「軽症でよかったね」といわれて、それで終わりでした。」
という訴えで受診される方が、かなりの数でいらっしゃいます。
(注:PSGによる睡眠検査でAHI20以上の方はCPAPの保険適応になります。簡易検査ではAHI40位以上。)
結論から書きます。 残念ながら「軽症で良かったね。」で終わりではありません。軽症でも、対策したほうがダンゼン良い!です。
間欠的低酸素血症は動脈硬化の大きな原因の一つと考えられています。つまり、
AHIとしてはそれほど重症でなくても、とても身体に良くないんです。
上記の対話のケースでいうと、おそらく無呼吸検査を受けた際に、横向き寝や減量、アルコールを控える、などの生活指導はされているのだろうと思います。
しかしながら、患者さんからすると、
いびきや睡眠時無呼吸の治療をするつもりで、わざわざ病院で検査までしたのに何もしてもらえなかった。との印象が残ることが多いようです。
あるいは、「検査したけど、何もしなくて大丈夫といわれた!」
と、時間がたつほどに、
都合よく楽観的に受け取ってしまうことさえあるように感じられます。
一方で、
軽症の睡眠時無呼吸なのは良かったけど、酷いいびきや、無呼吸は何にも変わっていないと家族が心配したり、
そもそも例えば、AHI19みたいなギリギリ20以下でも、本当に何もしなくていいのか?と疑問が残るために、受診されることもあります。
花粉症シーズンなどで、鼻閉が強くなり、その結果、いびき・睡眠障害がさらに目立つようになって受診されることもあります。
鼻の症状で受信された方も、よくよく聞いてみるといびきや睡眠時無呼吸を疑わせる訴えがポロポロとでてくることがあります。
睡眠検査したことはありますか?と尋ねるとページ冒頭ようなコメントを耳にすることになります。
「昔、他所で 睡眠時無呼吸の検査をしてもらったんだけど
AHIが20以下で 「軽症でよかったね」といわれて、それで終わりでした。」
結論からいうと、AHI20以下でCPAPの適応にならなくても、放置しないほうがいいです。
AHI5以上は睡眠時無呼吸です。
CPAPの適応にならないことは、治療を要しないという意味ではありません。間欠的低酸素血症は身体に悪影響を及ぼします。
AHI5以上で立派な睡眠時無呼吸なので、軽症であってもなんらかの対策が望ましいです。
特に最低SpO2が低値になるものは要注意です。(90%以下)
AHI20以下はCPAPの適応にはなりませんから、基本的に生活習慣の改善が大前提です。
(減量、横向き寝、禁酒、禁煙など)
私は耳鼻科医ですので、このようなAHI20以下の場合には、睡眠時の鼻呼吸がしっかりできているかをまず確認します。
起きているときに、鼻閉が気にならなくても横になると血流の変化で、鼻の粘膜が腫れて鼻が詰まるということもあります。
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎が背景にある鼻閉、あるいは鼻中隔弯曲や肥厚性鼻炎が主な鼻閉の原因の場合は積極的に手術を行っています。
リンク:鼻中隔弯曲症の原因と治療〜短期手術で治せます〜
その他に口腔内装具 (AHI5以上で保険適応)もありますが、口の中になにか入れて寝ることを望まれないケース、なじめないケースもあります。
昼間の眠気が強い場合はAHI20以下でも積極的に治療をおこなうべきと考えます。いびき音が大きい場合にも積極的な治療を行う理由になります。
減量の方法についても、減量の専門医の方法を取り入れしっかりと指導できるようにしています。
睡眠は毎日のこと。良い睡眠は日中の幸福感にも関係するという研究まであります。
いびき、無呼吸、鼻づまりのある方は、耳鼻科医の関われるところが多いです。
健康管理のお手伝いができれば、と思っています。
まずは、お電話でお問い合わせいただければと思います。
はるか耳鼻咽喉科
電話 0725-50-3333
耳鼻咽喉科専門医:抗加齢医学会専門医:中西 悠