アンチエイジング・抗加齢医学

耳鳴り診療ガイドライン:かんたん!解説

 

耳鳴り診療ガイドライン

耳鼻科の外来では、耳鳴りでお困りの方がとても多いです。

このページでは耳鳴り診療ガイドラインに基づいて
わかりやすく解説します。

耳鳴りっていうのは

耳鼻科では 本当に多い訴えなんですが
根治できる治療法っていうのが
医学的には まだ 見つかっていません。
患者さんは 耳鳴りがよくならなくて
いくつも病院を巡って
いわゆるドクターショッピング状態になったり
病院やクリニック以外の治療にすがることもあります。
Youtubeで検索してみても
耳鳴りを消す体操とか
ツボとか 鍼治療とか
耳鳴りを消す治療音 などいろいろあります。
個人的には、体に害のないやり方で改善するのなら

そういうのも、ありかなと思います。

西洋医学のみでは、対応がむずかしいこともあります。

耳鼻科でご案内するような、治療のやり方以外にも
いろんな治療法が出てくるほど
耳鳴りを ぴったりと治すのは
なかなか難しいということなんです。
いずれにしても、現在
医学的には これをやったら
耳鳴りが必ず止まる というものはないんです。
しかし、ご安心いただきたいんですが
治療法がないというわけではありません。効果が期待できる治療法がいろいろあります。
日本版の 耳鳴り診療ガイドライン(2019)年という治療指針があります。
このページでは、このガイドラインを参考にして
治療効果が高いとされているものを解説をします。

耳鳴りって 何?

まず 耳鳴りって 何か ということについて説明します。
耳鳴りというのは

外部からの音刺激がないにもかかわらず感じる異常な音刺激 

のことです。
人口全体の20%くらいの人が耳鳴りを感じているとされています。
5人に一人ですから、結構多いんですね。
ただ、実際に耳鳴りで困っているという方は
そんなにいなくて、
だいたい人口の2〜3%くらいと考えられています。
65歳以上だと、30%くらいの方が耳鳴りを感じているとされています。
今後、さらに高齢化や、社会的ストレスの増加もあって
耳鳴りで悩む方は
増えてくるだろうと予測されているんです。
耳鳴りがひどくなると、
うつ や不安、不眠など
精神障害を伴うことがあります。
さらに高齢者では
認知機能に影響することが 指摘されているので
なかなか治療が難しいというものではありますが、やはり治療の意義はあるということになります。

耳鳴りの診断

耳鳴りの診断についてお話します。
ここでは、中耳や外耳になにも異常がない
という前提でお話します。
まず、どのような耳鳴りがいつからあるのか、
左右ともにあるのか。
音に変化があるのか、など問診をします。
次に他覚的耳鳴か 自覚的耳鳴かを区別します。
他覚的耳鳴 体の中に音がする原因のあるものです。
これは他の人にも聞こえる耳鳴りなんです。
これはさらに と 筋性の耳鳴に分類されます。
代表的なものだと こういうものがあります。

血管性耳鳴

鼓室内のグロムス腫瘍や
動静脈ろう

筋性の耳鳴

アブミ骨筋性耳鳴
耳管筋性耳鳴
口蓋ミオクオローヌス
他覚的耳鳴りでないものは、
自覚的な耳鳴り
つまり、 体の中に音がする原因のないものになります。
他覚的な耳鳴りの場合は
耳から脳につながる感覚路の
どこかが障害されていて
耳鳴りが生じるんだろうとされているんです。
実際にはこちらのタイプの耳鳴りが多いです。

どうして耳鳴りがするのか?

たいていの耳鳴りは
特に理由もなくいきなり
始まることがおおいです。
この耳鳴り、その名のとおり
耳で起こっているものだと
思われることが多いんですが
現在の医学では、

脳の中枢部分で作られている

という説が主流なんです。
それから、耳鳴りの多くは
難聴によって引き起こされている
と考えられています。
耳鳴りを訴える方の大部分、90%くらいには
なんらかの難聴があるとされているんですね。
だから、まず耳鳴りの訴えのある場合には
きこえの検査をして、難聴の有無をたしかめます。
耳鳴りを 訴えてこられる患者さんの中には
急性感音難聴といって、きこえの神経の問題が
生じていることもあるんです。
代表的なところでは
突発性難聴や
急性低音障害型感音難聴
メニエル病などがあります。
きこえの検査で 正常の
ように見えても
検査で 測定できる範囲より
低い音あるいは 高い音の
難聴がある場合の
耳鳴りというのは
検査上、一見、難聴がなくて
正常の聴力に見えるので
そういう可能性も考えないといけないんです。
難聴のせいで、
耳から脳につたわる信号が弱くなると
脳のほうでは、
もっと頑張って聞こうとして、
音への感度をあげてしまうんです。
その状態が続くと、
脳は新しい音の回路を
自分で作ってしまうんです。
これが 耳鳴りの原因のひとつだろうと
考えられているんです。
つまり、耳鳴りは

難聴がきっかけになって、脳が鳴っている
という風にも言えるんです。

耳鳴りの治療

近年の耳鳴りの治療では、
耳鳴りの消失ではなくて
耳鳴りで困っている程度や、
不眠など生活の障害になるものを
軽くする、ということが目標になります。
耳鳴り診療ガイドラインで
推奨されている治療
は エビデンスレベル
推奨の強さでランクづけされています。
エビデンスが高いっていうのは、
かんたんにいうと、
客観的なデータがしっかりあるもの、
ということです。
耳鳴りの診療ガイドライン
で示されている
エビデンスレベルの高いもの
からご紹介します。

エビデンスレベル1 推奨度A

エビデンスが強く、行うことを強く推奨するというものです。

1: 難聴がある耳鳴りに 補聴器をつける

2: 認知行動療法

まず補聴器のほうから解説します。
耳鳴りには ある程度の音を聞かせると
よわまる あるいは 消えてしまう
マスキングという性質があります。
補聴器で 周囲の音を脳に
積極的に聞かせることで
耳鳴りへの意識を遠ざけて、
意識から消すように作用します。
これは、
ろうそくを 暗い部屋で
ともすか 明るい部屋でともすか という
ことに例えられます。
コントラストの関係で
補聴器を装着すると
これまで聞こえなかった小さな生活音が
きこえるようになると
脳は もっとよく聞こうと
感度をあげることをやめていきます
その結果 長期的には
耳鳴りは小さくなっていきます。
耳鳴りにより
会話が聞き取りにくいという場合も
補聴器をつけることで
外部からの音が大きくなるのに対して
体内から聞こえている耳鳴りは
大きくなりませんから
音のコントラストがついて
会話が聞きやすくなるというわけです。
難聴が全く無いのに
耳鳴りがこまるという方には
サウンドジェネレーターといって、
一見 補聴器にみえるんですけれども
音を大きくするのではなくて
小さなノイズを発生することで
耳鳴りが気にならないように
導いてくれる機器を補助的に用いることがあります。
最近では 補聴器に
サウンドジェネレーター機能が
ついているものもあります。
2つめ の認知行動療法
認知とは、考え方や
 ものの受け取り方のことです。
耳鳴りに対する 認知行動療法では
耳鳴りに対する
ネガティブな考え方や認識が
少なくなるように
働きかけます。
具体的には、
耳鳴りそのものが辛いのではなくて、
耳鳴りによって
おこってくる 睡眠障害や不安感、
ストレスがつらい という
正しい認識になるように、サポートします。
耳鳴りは、
なかなか他人に理解してもらえない
という側面があるので
患者さんはストレスを一人で抱え込みがちなんですね。
ストレスを抱えることによって、
ネガティブな考え方になって耳鳴りが
悪化するという
悪循環に陥らないようにしようというものです。

エビデンスレベル1 推奨度B

教育的カウンセリングです。
耳鳴り治療のカウンセリングは、
一般的なカウンセリングの概念と違って
耳鳴りに対する 教育的
あるいは 説明的
なカウンセリングです。
これはどういうことかというと
耳鳴りについて 詳しくなってもらうんですね。
患者さんに きこえの仕組みや
お耳の病気があるのかないのか
耳鳴りの発生するしくみ
治療の方法と 目標
予想される経過などについて
よく理解できりように わかりやすく説明します。
え、そんなこと? と思われるかもしれませんが
患者さんの不安や 疑問に答えることが
耳鳴りの治療には 重要、ということ

なんです。

エビデンスレベル2 推奨度C

エビデンスは弱く、行うことを弱く提案、
もしくは条件つきで行うもの です。
1 薬物療法
2 CDなど 環境音楽や サウンドジェネレーター
3 人工内耳
4 rTMS
となっています。
人工内耳とrTMSはかなり特殊で、適応になる方が限られるので、
このページでは割愛します。
1つ目の薬物療法では、
不眠や うつの症状ばあれば、
それに対して
睡眠薬や抗うつ薬の
使用を推奨しています。
他のお薬については
十分なエビデンスがあるとはいえないんですが、
ビタミンB12や、
血流改善薬
には効果があるかもしれない、
といった、弱めの推奨度となっています。
実際の臨床現場では、漢方薬もよく用いられています。
もう一つの CDや環境音楽
サウンドジェネレーターについては
補聴器の項目でサウンドジェネレータ−について
少し説明しましたが、
環境音、あるいはサウンドジェネレータの
ような外部音源を用いて
   静寂を避けることによって
   耳鳴りを気にならいないようにしよう
   というものです。
サウンドジェネレータを用いて行う治療に
TRT 耳鳴り再訓練療法 (Tinnitus Retraining Therapy)
があります。
TRTは 脳を訓練することで
耳鳴りがあっても
意識しなくていいようにないように
させるトレーニングです。
TRTのもとになった
神経生理学の研究では
通常、何らかの原因による耳鳴りがあっても
多くの場合 中枢性に順応が生じて
意識上は気にならないようになってくる、
とされているんです。
しかし、中枢性の順応の過程で、
不安や 焦燥感、緊張などの
ネガティブな反応があると耳鳴りを
持続的に感知するようになるんです。
この経路では、睡眠障害や、
肩こりや首のこり、頭痛のような
さまざまな自律神経反応も関係して
悪循環の形成を促進するといわれています。
TRTは こういう悪循環の経路を断つこと
によって耳鳴りを治療しよう というものです。
人は意識することで
物事の存在を認識できます。
いいかえると、意識しなければ、
無いのと同じということになります。
たとえば 生活雑音を例に 説明します。
混雑したショッピングセンターを
想像してみてください
ざわざわしているはずなんですが、
その雑音がずっと気になるわけでは
 ないですよね。
あるいは
自動車の交通量の多い道を
歩いているとき。
想像してみてください
車道では 車がたくさん走っている...
私は、だれかと歩道をあるいて話をしている...
そんなときは、
車の走行音気になりますか?
ならないですよね。
たしかに意識を
車の走行音に向けると うるさいですが
誰かと歩道をあるいて
お話に集中しているときは、
車の音は意識してないんです。
こういう風にもっていけると
耳鳴りを意識しないようになるだろう
というのが
 TRTの考え方なんですね。
TRTは 耳鳴りを脳が無視するように
耳鳴りというものが
どんなものなのか
正しく理解させる
カウンセリング
HAやサウンドジェネレーターを使って
外から音をいれる
 「音響療法」を組み合わせたものなんです。
カウンセリングと聞くと、
ちょっと仰々しい感じに聞こえますが
TRTのカウセリングは
耳鳴りの
不安をなくそうとするもので、
説明や 指導と いっても良いと思います。
実際の臨床現場では
ここまで説明してきた
認知行動療法や
教育的カウンセリングを含む内容になります。
耳鳴りは難聴によって
脳に届く音が小さくなった結果
起こることが多いんです。
音響療法では、
それを逆手にとって
耳に十分な音をいれて
音によって耳鳴りを隠すことで、
耳鳴りの不快感を減らし
耳鳴りを意識させないようにして
脳にできた耳鳴りの回路を弱めるように
トレーニングしていくんです。
TRTの有効率は70〜80%と言われていて
ほとんどの方がある程度の改善を見込める治療といえます。

エビデンスレベル2 推奨度D

エビデンスは確信できず、行うことを弱く提案、もしくは行わないことを
推奨するものには
鍼治療や
レーザー治療があげられています。
こういう治療が効く方というのもいらっしゃるかとは思いますが
このあたりは、患者さんのご希望があれば、ということになろうかと思います。
いかがだったでしょうか。
耳鳴りを 完全に消そう消そうとすると
「今日は 鳴ってるかな? 鳴ってるかな?」って
耳鳴りを探すようなことになりかねないんです。
だから、治療の目標

耳鳴りを消すのではなくて

前よりだいぶましだし、

そんなに気にならなくなったな、と

日常生活に困らないようにすることなんです。

耳鳴り治療でお困りの方は ご相談ください。

できる限り 治療のお手伝いをさせていただきます。

はるか耳鼻咽喉科 

ゼオスキン外来日にお電話でゼオスキンご相談のご予約をしてから来院いただけると助かります。

水曜 午前、午後
金曜 午前、午後
土曜 第1〜3週午前

電話 0725-50-3333

耳鼻咽喉科専門医:抗加齢医学会専門医:中西 悠

 

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