耳鼻科の病気:わかりやすい解説

鼻出血を止める方法3選:専門医解説

このページでは鼻出血について解説します。

 

今、まさに鼻血が出ていて困っているという方のために、まず鼻血の止め方から。

 

鼻出血の止め方

鼻血が出ても 大丈夫です。

まず慌てずに落ち着きましょう。

お子さんの場合は、安心させてあげてください。

ほとんどの鼻血は自分で止められます。

鼻血が出た時に取るべき姿勢

座った状態で、上を向かずに、すこし前傾姿勢にします。

血液は飲み込むと気分が悪くなることがあるので、なるべく飲み込まないようにします。

もし気分がすごく悪くて 座れないような場合には、側臥位、つまり横向き寝にして、血液を飲み込まないようにします。

 

鼻出血の止血法

テッシュかタオルなどで尾翼、小鼻のところを両側からしっかりと圧迫します。

鼻の中にテッシュを入れたりしなくていいです。

ひたすら押さえます。止血の基本は 圧迫止血です。

鼻出血の原因として一番多いところに鼻中隔のキーゼルバッハ部位があります。

尾翼のところを押さえると キーゼルバッハ部位をしっかり圧迫できます。

血液サラサラのお薬を飲んでいるような場合でも、しっかり押さえるとたいていは止血します。

止血のポイントは、「もう止まったかな」とたびたび圧迫を緩めて、確認することはしないこと。5分から10分くらい、ゆるめずに押さえ続けてください。

鼻出血:よくある勘違い2つ

●よくある間違い、ひとつめ

鼻の上のほう、鼻根部を押さえること、です。

ここは、鼻骨のある部位でここを押さえても太い血管があるわけではないですし、積極的な止血にはなりません。

●よくある間違い ふたつめ

首のうしろのうなじのあたりをトントン叩くこと、です。 

首を叩いても鼻血はとまりません。

のどのたくさん血液が流れてくるような場合には、鼻腔の後ろの方からの出血も疑います。

しっかり押さえ続けても止まらないときは、耳鼻科で止血対応します。

 

鼻出血の原因

鼻出血の原因は大きく2つにわかれます。

鼻、副鼻腔に由来するものと、全身疾患に由来するものです。

ここで、鼻、副鼻腔に由来するものというのは、鼻をいじってしまうことによる機械的な鼻粘膜の刺激、鼻粘膜の乾燥、鼻中隔湾曲、アレルギー性鼻炎や急性鼻炎のような炎症性のものの他に、腫瘍や、血管腫などの可能性もあります。

全身的な要因としては、高血圧や血液疾患の他にも、肝機能障害のせいで血が止まりにくいというようなことがあります。

鼻出血の原因として、一番多い部位は、鼻中隔の前部にあるキーゼルバッハ部位です。

ここには、大きな血管の枝が集まっています。


専門的な話になりますが、鼻腔の血管は大きく内頚動脈系と外頸動脈系に分けられます。

鼻腔の上の方、約3分の1は内頸静脈系の眼動脈から分岐した前篩骨動脈、後篩骨動脈から主に血流を受けています。

それに対して残りの部位は、主に外頸動脈の枝である顎動脈、顔面動脈から血流を受けています。

顎動脈には蝶口蓋動脈という枝があってこれが、さらに鼻中隔に分布する中隔後鼻動脈をいう枝にわかれます。

この中隔後鼻動脈は、鼻中隔に分布する大口蓋動脈、上口唇動脈、前篩骨動脈という他の動脈たちとキーゼルバッハ部位で吻合するんです。

そういうわけでキーゼルバッハ部位は、血管が集まる部位であることを知っていると、ここを押さえることの 重要性が理解できるかと思います。

キーゼルバッハ部位は鼻の前の方で、指が届くような場所にあるために、手で触って傷がついたりもしやすいため、出血しやすいと考えられています。

 

鼻出血の治療

鼻血がでたら、その場は、まず圧迫止血をします。

実際の診察では、出血の部位を確認して、止血対応します。

出血部位が、鼻の前の方か、上の方か、後ろの方かによって対応が変わることがあります。

耳鼻科医は、出血の部位によって、「このやり方で止まらないなら次の手」のように、止血技術をいくつも持っているんです。

鼻の前からガーゼを入れるだけではなくて、喉のほうから、鼻腔の後ろ側へガーゼを入れて止血するようなベロックタンポンという止血法もあります。

ベロックタンポンでは、糸がついたカーゼを鼻の奥に えいって押し込んで、鼻の穴から 糸で前にひっぱります。挿入された方の違和感が強いので、これは、よほど必要なときにだけ行う方法です。

子供の鼻出血の場合は、鼻の中に異物がないかも確認します。

年齢に関わらず腫瘍や全身的な問題がないかもついてもチェックします。

鼻出血を繰り返す場合で、アレルギー性鼻炎などの炎症があったり、鼻のかゆみがあって触ってしまうような場合には鼻炎の治療をします。

抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬の内服薬で炎症やかゆみを押さえていきます。

成人の方で、高血圧や糖尿病などある場合には、そちらのコントロールをしっかりしてもらうように管理をすすめます。

冬場は、寒さから血圧もあがりやすいためか、乾燥のせいなのか鼻出血のご相談も多い傾向があります。

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最後に お話するのは、栄養指導です。

血管が再生するときには ビタミンCが重要になります。

サプリでとったりするのではなくて、しっかりとお野菜を食べてくださいねと栄養指導することも鼻出血のコントロールには大切なことと考えています。

たまに誤解されているのを耳にしますが、ピーナッツやチョコレートを食べると鼻血がでやすくなるというのはたぶん誤りで、医学的な根拠はないです。

当然ながら、食べすぎで栄養が偏るようなことがあれば、よくないと思います。

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はい いかがだったでしょうか。

くりかえす鼻出血というのは、筆者自身、子供の頃に 悩まされていた時期があります。

毎朝、顔を洗うときに、自然とたらーって出てくることが多かったですね。

もう毎日出るので、鼻血では 驚きも騒ぎもしなかったですね。

あ、また来た!くらいの感じでした。

鼻血は珍しいものではありませんが、度重なると心配になります。対処法がはっきりとわかると、ストレスがいくらか減るかと思います。

この記事がお役にたてば嬉しいです。

ご家庭でできる鼻出血のポイントは3点

1つめ 鼻血が出たときは慌てず、騒がずしっかり圧迫止血

2つめ 鼻炎症状があれば 内服治療

3つ目 ビタミンCが大事です。お野菜食べましょう。

これでも鼻出血が続くときは 耳鼻科でご相談くださいね。

大阪 和泉市の耳鼻咽喉科

はるか耳鼻咽喉科

電話 0725-50-3333

耳鼻咽喉科専門医:中西 悠

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