耳鼻科の病気:わかりやすい解説

アレルギー性鼻炎の治療:専門医が本音で解説

 

 

このページでは アレルギー性鼻炎の治療について
専門医の立場から

「これを知っとくといいよね!」

というお役立ち情報をまとめて解説します。

実は、私自身、幼少時から花粉症が本当にひどかったんです。

特に高校生の頃が最悪でした。

朝、学校に行く時、自転車で走るんですが

鼻も目も、すごくかゆくて 

学校につくと

鼻が壊れたんじゃないかっていうくらい

鼻水が止まらなくなるんですね。

もうね、鼻水で溺れるんじゃないかと思うくらいでした。

これ 花粉症の酷い人はわかると思うんですけど

全然大げさじゃないんです。

当時、私が通っていた学校は山の中にあったんですよね。

杉もたくさん生えてました。

自由な校風で 学校は好きだったんですけど

自分にとっては 場所がちょっと良くなかった。

花粉がマックス飛んでいる時期は

鼻が壊れたんじゃないかというくらい

鼻水 ダダ漏れになるので

テスト中に 鼻水が答案用紙に落ちて破れたことがあります。

クラスに独りくらいいませんでしたか?

机の上に 箱ティッシュ載ってる子。 

私はそういう子供でした。

そんなわけで

私 アレルギー性鼻炎の治療には

少々 熱くなるところがありまして

話したいことが いっぱいになるんですが

なるべくシンプルにいきたいと思います。

アレルギー性鼻炎っていうのは

子供でも おとなでも

「くしゃみ はなみず 鼻詰まり」

を起こすんですが

特に鼻詰まりが強いと、しんどいです。

自然とよくなるということは

全くないわけではないんですが かなり少ないとされていて

喘息発症のリスクが上がるということもわかっています。

口呼吸しかできないと、口の中が乾燥して

虫歯になりやすかったり、

歯並びが悪くなる原因になるとも考えられています。

さらに、歯科矯正をしようとしても

鼻がすごく詰まってると、矯正もうまくいかないことがあるんです。

さらに、こことても大事なんですが

鼻詰まりによる、睡眠障害は

日中の活動性や、精神発達、学習能力に悪影響をおよぼすと

されてるんです。

逆にいえば、いつも鼻詰まりのひどいお子さんは

鼻がスッキリ通ったら、

もっと成績あがっちゃうかもしれない ってことですね。

これは、怪しいことをいっているわけではなくて

わりと想像しやすいと思います。

例えば、

いつも鼻が詰まって、口をポカーンとあけて

苦しそうに寝ている子と

鼻呼吸ができて スヤスヤ眠れている子

どちらが、成長、発達に良いか

いうまでもないと思います。

しかも 最近のお子さんって

ダニとかハウスダストのような 

年中、鼻詰まりを起こしてくる

通年性のアレルギーを持っていることも多いんです。

アレルギー性鼻炎の診断

アレルギー性鼻炎 どうやって診断するかというと

ポイントは「2点」です。

ひとつめは アレルギーなのか どうかということ。

これは 主に

問診と 鼻の診察で、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなど

アレルギー性鼻炎にあう状態か確認することです。

画像診断や鼻水の検査を行うこともあります。

2020年のガイドラインでは

これだけでも、臨床的にアレルギー性鼻炎と判断してもよい

とされています。

問診、診察で診断が難しいときや

お薬の効果が不十分なとき

後述するアレルゲン免疫療法を

行うときは 

ふたつめの検査 を行います。

何に対してアレルギーをおこしているのか、

アレルギーの原因となる アレルゲン、 抗原ともいいますけれど

これを調べる抗原同定検査を行います。

ただ、ここで問題があって

5歳以下の未就学児では アレルギー性鼻炎の診断はなかなか難しいんです。

特に3歳以下だと かなり難しいです。

どういうことかというと

鼻がグスグズで 鼻炎の症状があるのは ひと目でわかるんですが

その鼻炎が アレルギーによるものなのか 感染によるものなのか

小さなお子さんの場合には 

区別がすごく難しいとされているんです。

よく外来でもお母さんに これはアレルギーですか、なんですか?

って質問をいただくんですけど

ちいさいお子さんの場合は、ひと目でこれは

「感染」、こちらは「アレルギー」って

わかるわけじゃないんですね。

鼻がグズグズで、病院に行こうってなるくらいのときは

感染もアレルギーも

どちらももっている場合も珍しくないんです。

ごくたまに、受診された方とか初診の方で、最近の数日だけ

鼻の調子が悪いというようなケースでは、特に確定診断は難しいです。

ただ、なんにもわからない というわけではなくて

これから 列挙するようなことを

詳しく問診して、いろんな角度から 何が原因の鼻炎なのか診断していくわけです。

たとえば

いつ、くしゃみや 鼻水 鼻詰まりがおおいのか

鼻水は透明なのか 色がついているのか

症状が一年中あるのか 季節によるのか

喘息があるか

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーはどうか

熱や喉の痛み 

発熱や咳 はないか

まだまだ たくさんあるんですが

その患者さんの生活環境に応じて質問も変わります。

こういったことを いろいろ質問して

アレルギー性鼻炎なのか、見極めていきます。

さらに、必要に応じて採血で 特異的IgEが陽性でなおかつ

アレルゲンがあると症状がでちゃう、ということを確認します。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎だろう という診断がついたら

どういう治療をするかについてお話します。

アレルギー性鼻炎の 第一選択薬は

第二世代の 抗ヒスタミン薬 なんです。

まだ なんにも治療していないときは

まず、これから、っていうことです。

私は、自分自身がアレルギー性鼻炎だったので

学生時代は、薬局でお薬をかったりしていたんですが

自分の場合は、お薬一種類だけだと ほとんど効果がなかったり、

それなのに、一日中眠くて 口も乾くし、副作用がかなり目立つ感じだったんです。

今思うと、昔、薬局で私が買っていたものはあれは古い世代の第一世代抗ヒスタミン薬だったんです。

第二世代の抗ヒスタミンは、第一世代の副作用であった眠気や口のかわきの比較的少ないもの、になります。

第二世代抗ヒスタミン薬というのは

かなり種類がたくさんあります。

どのお薬を選ぶかというのは 医師の裁量によるんですが

はじめの処方で効果が不十分だったり、眠気があるときは

お薬を変更することがあります。

抗ヒスタミン薬は 抗アレルギー薬の中でも

くしゃみ 鼻汁によく効くとされているお薬なんです。

鼻づまりにも効かないことはないんですが、

もうちょっと 鼻が通ってほしいな というときには

抗ヒスタミン薬に加えて

抗ロイコトリエン薬を用います。

ロイコトリエン拮抗薬 という表現をされることもありますが、同じものです。

抗ロイコトリエン薬は 現在ではまだ 薬局では市販されていなくて

病院で処方するお薬のみ となっています。

抗ヒスタミン薬と組み合わせてつかうと すごく効果的なので

特に鼻詰まりが困るというときに、おすすめのやり方です。

抗ロイコトリエン薬は

喘息の治療薬でもあるので、喘息もあるんですというような場合には

抗ヒスタミン薬との併用することが多いです。

抗ヒスタミン薬で効果が乏しいときに、加えることで

もうひとつ効果的なやり方があります。

それは

鼻噴霧用ステロイド薬です。

お鼻の シュッとする いわゆる点鼻薬です。

あんまり小さなお子さんだと難しいですが

私は 患者さん本人にできそうかどうか、

尋ねてから処方するようにしています。

一日一回タイプのものでは

お風呂上がりに、1日1回 シュッとしてね

と説明します。

重症のスギ花粉症なんかだと、お薬1種類ではよくならないことが多いです。

鼻詰まりがひどい場合には、

悪いときだけに使うんじゃなくて、「毎日続けて」使うように指導しています。

シーズン中は 毎日花粉飛んでますからね。

点鼻薬は ちゃんと使ってもらえると、鼻詰まりにかなり効果的です。

さらに、目のかゆみもすこし軽減されるといわれていて

アレルギー症状の強い方には都合がいいんですね。

はい ここまでが 一般的なお薬を使った治療なんですけれども

他のアレルギー性鼻炎の治療法には

アレルゲン免疫療法といって

毎日、 舌下

舌の裏のくぼみにお薬を与して

数年かけて 

体質を改善していく方法もあります。

治療できるアレルゲンが限られていて

現在はスギとダニについて免疫療法が行われています。

鼻閉に対する手術もあるんですけれども

適応は基本的に、身長の伸びが止まった頃と考えてもらうといいです。

鼻閉の程度によって例外はあります。

子供さんの場合には、成長発育の時期ですので

お薬の治療では、とてもコントロールが難しいというとき

にしか手術は行いません。

レーザー手術や

下鼻こうかいの手術、鼻中隔の手術などがあります。

こういった治療は

保存的治療では何をやってもだめで

睡眠障害もある、というような場合に行っています。

他には、近年スギ花粉症で使えるようになった

ゾレアという新しい治療薬についても別の動画で解説しています。

12歳以上で 適応になるお薬なんですが、

私自身でつかってみたところ、すごく快適だったので

参考にしてみてください。

抗原除去や回避といって

アレルギーの元が ダニの場合には

そうじや、除湿、防ダニ布団カバーなど

花粉の場合にじゃ、マスクやメガネも有効です。

生活指導も大事で、規則正しい生活や、

屋外で運動をしっかりすることも

鼻呼吸改善には有効とされています。

さあ いかがだったでしょうか。

重症のアレルギー性鼻炎のしんどさって

どういうものか

なかなか人にはわかってもらえないんじゃないかなあ、と思います。

アレルギーで困ってる っていう方がいらっしゃいましたら

鼻のお薬の治療だけじゃなくて 生活全般を見渡して

いろいろと提案できることもあります。

ほんとにお手伝いしたいので

ぜひ お任せていただけたら と思います。

 

はるか耳鼻咽喉科 

電話 0725-50-3333

耳鼻咽喉科専門医:中西 悠

-耳鼻科の病気:わかりやすい解説

Copyright© SASCARE , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.