耳鼻科の病気:わかりやすい解説

めまいの診断セルフチェック:専門医が本音で解説

 

このページでは めまいを起こす病気の診断について

フローチャート式にそって解説します。

比較的 よくある耳性のめまいについて

その原因(の可能性)がわかるように進めていきます。

症状から、めまいの原因の診断がつくように

問診形式になっています。

実際には、診察をしてみないと確認できないことも

いろいろあるので、あくまでも参考にしてみて下さい。

めまいの中には、すごく珍しい病態のものもあるので

そういうものはこのフローチャートでは考慮にいれていません。

それではいってみましょう。

 

まず めまいがあって

もしそれが 「急に起こった」場合

見逃してはいけないのは

「脳卒中」なんです。

 

 

脳卒中っていうのは

一言でいうと

脳に血液が上手く流れなくなっておこる

脳梗塞や脳出血などの

「脳の血管トラブル」のことです。

脳卒中によるめまいは

中枢性のめまいといって

緊急性のあるものなんです。

今から記載するような症状があれば

脳梗塞や脳出血がないか、

「頭部CT」など画像診断の検査で

確認しておいたほうがよい、という状態になります。

中枢性のめまい、脳卒中の可能性を疑う症状

口がもつれて上手く話せない

手や足の感覚がおかしい

ものが二重に見える

全く立てない 歩けない

ひどい頭痛

こんな症状があれば

かならず起こっているわけではないですけれども

中枢性のめまい、脳卒中の可能性を 考えます。

特に高血圧や糖尿病がある方の場合は要注意です。

 

立てない、歩けないという症状については

めまいのときはどんな原因であっても

多かれ少なかれ出てくる症状ですので

全く姿勢保持ができない状態ようだと危険という

を想定しています。

画像診断ではすぐにわからない中枢性めまいもあるので

こういう症状がつづけば時間を開けて再検査することもあります。

脳卒中を疑うような症状がある

めまいというのは危険で、緊急性のあるめまいなんですね。

脳卒中の可能性を疑う症状が当てはまらなければ

ひとまず緊急性はなさそう、と判断します。

それでは 次に確認することは「難聴があるかどうか」です。

耳鼻科にめまいで 受診された方は経験があると思うんですが

どうしてめまいなのに 聞こえの検査をするんだろうと

思われる方もいるかもしれません。

聞こえの神経と、バランスを取る働きは、共に

「内耳」という神経が司っているんです。

それで、めまいがあるときには

内耳の機能を確かめるために、

つまり、難聴などがない確認するために聴力検査をします。

低い音だけの難聴があるような場合は

患者さんの訴えとしては、「ただ 耳が詰まった感じがする」といわれるだけで

難聴には本人が気がついていないことも多いです。

そういうわけで、めまいで、

起き上がれないようなときには難しいんですが

座って検査ができるようなときは、聴力検査をします。

例えば、こんなめまい。

「おうちでめまいが起こったんだけど

きこえは全然かわりなくて、よく聞こえていている。

でも 頭を動かすと、グルグルと回ることがある。」

こういう症状のときに多いのが

「良性発作性頭位めまい」です。

もともとめまいなんかなかったという

健康な方に 突然起こるめまいでは

一番多いものです。

良性発作性頭位めまいは

あたまに良性とついているくらいで

1週間から2週間ほどで

めまいを繰り返しつつも

徐々に 自然と治っていくことも多いんです。

内耳の半規管というところの問題

と考えられています。

良性とは 名前がついているんですが

急性期 つまり 症状が出始めるときは

めまい感とバランスの障害は すごく強くて

かなりきついことがあります。

良性発作性頭位めまい という名前の印象とは

だいぶ違う感じで、しんどそうなこともあるんですね。

気分が悪くて 嘔吐してしまうようなこともあります。

まずできること、は安静です。

良性発作性頭位めまいに限らないんですけれど

めまいでは

頭を動かすと、

「眼振」とよばれる

特徴的な目の動きがでることも多いです。

特に良性発作性頭位めまいの場合には

頭の位置を変化させたときの、

眼振の出方で、

どこの半規管に問題があるのか

わかることがあります。

しかし、 この眼振は

自然とよくなることも多いので、

めまいが起こってから 、

数日して病院を受診されたようなときには

もう認められないこともあります。

次に考えられる状態にいきます。

 

これも 例をあげてみます。

めまい感があるけど、きこえは全然わるくない

頭の位置をいろいろ変化させても、

一定の方向の眼振が出るというようなようなケース。

こういう時は、

わりと珍しい状態ではあるんですけれど、

「前庭神経炎」の可能性を考えます。

典型的な前庭神経炎の経過としては、

めまいの起こる一週間くらいまえに風邪症状があって、

突然の強い回転性めまいや嘔吐などがあった。

強い回転性めまいは一度きり

というような場合に、この疾患を考えます。

前庭神経炎については、

他にも除外するべき疾患がいろいろあるので、

病歴や症状だけから診断をつけることは、難しいかなと思います。

はい、それでは次 にいきます。

めまいと共に、きこえの変化があるとき

つまり、難聴や耳鳴りがあるとき、です。

 

例を挙げます。

「めまい症状と、ときこえの変化があるんだけど

こんな症状は 全くの初めて!」という場合には

「めまいを伴う突発性難聴」
「低音障害型感音難聴」

あるいは

「メニエル病の初回発作」の可能性を考えます。

はじめてのときには、どれなのかっていうのは区別するのが

難しいんですね。

どうしてかというと、

メニエル病っていうのは

繰り返して めまい 耳鳴り 難聴が起こる病気

とされているんです。

繰り返すかどうか っていうところが診断に重要なんですね。

聴力も変動する事があるので、

聴力検査も繰り返し行います。

初回だと繰り返すかどうかわからないから、はじめての

めまい発作で、難聴があっても必ずメニエル病ということにならないんです。

メニエル病では、低い音の聞こえが悪くなることが多い、

とか特徴はあるんですけどね。

メニエル病が疑われるときに

とりあえず、その場ですぐできることは、

ストレス回避や過労、睡眠不足の解消など生活指導です。

受診できる状況なら、病院へ行って聴力検査をします。

メニエル病に似ている疾患として

低音障害型感音難聴といって

低い音の聞こえの神経の力が悪くなるものもあります。

この場合は 聞こえが悪いというよりも

耳が詰まった感じと 表現されることも多いんですが

この場合も めまい感を訴えられることがあります。

臨床現場では、メニエル病などよりもずっと頻度が高くよく見かける病態です。

 

はい いかがだったでしょうか。

今回は めまいの代表的な疾患について

読み進めると 自然と診断に近づくようなやり方で

ご案内しました。

 

めまいが起こると、

不安になるし、気分も悪いし

何がどうなっているのかわからない

という方の参考になればと思います。

実際に耳鼻科医が

めまいの患者さんを前にしたときには

お耳の診察をしたり、

既往歴や、内服中のお薬など

いろいろと細かく確認して 、

診断をすすめていきます。

 

今回、お話しなかったようなめまいを起こす疾患もいろいろあります。

列挙するとキリがないんですが、例えば以下のようなものです。

薬剤性内耳障害、心因性のめまい、顔面神経麻痺、

聴神経腫瘍、自己免疫性疾患、外リンパ瘻、

椎骨脳底動脈循環不全、顔面神経麻痺、

ワレンベルグ症候群、貧血、

不整脈、 出血性ショック、前庭性偏頭痛.....

 

めまいにこのような疾患が潜んでいないかな、

といろんな方向からチェックして治療をすすめていきます。

検査では異常がなくて、原因がわからないものでも

めまいの症状があるときには めまい症として経過を見ていきます。

めまいでお困りの方は、ご相談ください。

 

はるか耳鼻咽喉科
和泉中央駅 2F

電話 0725-50-3333

耳鼻咽喉科専門医:抗加齢医学会専門医
中西 悠

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