このページでは 、しゃっくりについて その原因や止め方を解説します。
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しゃっくりは、医学的は「吃逆:きつぎゃく:hicceps」といいます。
✩日常会話で吃逆って、ほとんど使われていないのでこのページでは、しゃっくりと表現します。
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大事な場面で、しゃっくりが出て困ったという経験は皆さんあると思います。この動画を見ていただくとそんなときに 、役に立つかもしれません。
しゃっくりの原因
原因は横隔膜をはじめとする呼吸に関わる筋肉が、無意識に収縮してしまう
一種のミオクローヌスと考えられています。
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ミオクローヌスっていうのは、わかりやすくいうと、筋肉が自分の意志とは無関係な運動を起こすことです。
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呼吸筋が、「けいれん性の収縮」をすることがあります。これを攣縮というんですけども、この呼吸筋の痙縮が、胸腔内陰圧が急激な、吸気を生じます。
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それに伴って 、閉鎖した声門部に吸気がぶつかると「ヒック」という特徴的な音を反復すると考えられています。
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一時的なしゃっくりの場合、その原因は食事やアルコール、炭酸飲料による刺激であったり、飲み物による消化管周囲の温度変化によるものもあります。
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冷たいもの、熱いものを急に摂取したり、暴飲暴食が原因になりうる ということです。
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急激な興奮や、感情的ストレスなども影響すると考えられています。
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持続性、難治性のしゃっくりでは、のどや食道、胃のような消化管に問題があったり、中枢神経障害や、薬物性、ストレス、心因性のもの、過去に受けた手術の影響などが関係するとされてます。
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つまり、 あまりにも長く続くしゃっくり については、全身的な原因がないか、調べてみたほうがいい、ということです。
しゃっくりの止め方:12選
原因がわかっているものは、まず その治療をするんですが、原因がよくわからないことも多いです。
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これをやったら必ず止まる、というものはないんですが、医学的に有効だろうと考えられているものについてご紹介します。
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まず お薬を使わない方法から。
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しゃっくりを起こす筋肉の反射弓に作用することを期待しておこなうものです。
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反射弓っていうのは、反射が起こるときの神経の経路のことです。
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舌咽神経咽頭枝への刺激法として
●舌を強く引っ張る
●スプーンで 口蓋垂を上に押し上げる
●氷水でうがいをする
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迷走神経への刺激法として
●外耳道を指で強く圧迫する などがあります。
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いずれも、数分間にわたって、されている方が、これは不快だな、と感じる程度の強さで行わないと効果が期待できない と考えられています。
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さらに迷走神経への刺激法として、バルサルバ法 があります。
●息を大きく吸い込んで、そのまま止める方法です。
●10秒ほどかけて、ゆっくりと限界まで息をすいこみます。
15秒程度、しばらく止めて、ゆっくりとまた限界まで吐き出します。
これを繰り返します。
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●眼球を圧迫することも有効とされています。
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さらに横隔神経への刺激を減らす方法として
●前かがみで胸を圧迫する 方法もあります。
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【余談】私、耳鼻科医ですので、顕微鏡で行う耳の手術も多いんです。たまに手術中に しゃっくりの止まらない患者さんがいらっしゃるんですね。
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あんまりにも揺れが酷くてひっく ひっくしているときは、顕微鏡下の手術操作が危険なので、麻酔科の先生に「先生、このしゃっくり 停めてもらえますか」
ってお願いすることがあります。
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こんな状況の手術中のように、医師が処置できるのであれば、胃にチューブを入れて、そこから吸引や胃洗浄を行ってしゃっくりを積極的に止めにいくことがあります。
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薬物治療については、これを飲んだら必ずしゃっくりが止まる、というような決定的なものがないので、経験的に効きそうなもので、 比較的副作用の少ないものが
試されている、というのが現状です。
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●ドパミン作用薬の プリンペランや
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漢方薬では
●芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
●呉茱萸湯 (していとう)
●半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう)など
が用いられることがありますが、しゃっくりに適応があるというわけではありません。
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薬物療法については、医師に相談していただけたらと思います。
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大阪 和泉市の耳鼻咽喉科
電話 0725-50-3333
耳鼻咽喉科専門医:中西 悠